ダンボールに表示するリサイクルマークについて。
「美粧ダンボールとは?」の記事ページで説明しましたが、美粧ダンボールを一般的に言うと、コートボールのような板紙用紙にオフセット印刷などの美粧印刷したものを片面ダンボールに貼り合わせた(合紙した)ダンボール製品のことを指します。その他にも様々な印刷や加工により美粧性を持ったダンボールも含めると「一概に印刷したコートボールを合紙したもの」だけではなさそうです。それでは、これからお見せする写真の箱にはどのような「マーク」を表記すべきでしょうか?「紙マーク」と「ダンボールマーク」どちらを表記すれば良いのか?わからない場合もあるのではないでしょうか…? そんな方のために、ダンボールに表示するリサイクルマークについて簡単にお話していきたいと思います。
問題1)
Eフルート片段シートにコートボール310g/㎡を合紙した箱は紙マークですか?
ダンボールマークですか?
答えは:ダンボールマーク
解 説
補 足
解 答
それでは一般的な数字に基づいてご説明しましょう。
先にダンボールの総量を求めていきます。材質は仮に一般的なC5の茶色いダンボールとします。Eフルートの波形の中芯と1枚のライナの合計がダンボール部分の総量なので、一般的なC5ライナ(1平方メートルあたり:160g)と中芯(1平方メートルあたり:120g)を足した重量となります。ただし、中芯は波形になっているため、平滑なライナより長く使用しています。その余分に使用している部分を求めるのに「段繰率」という数値を掛けて平滑な長さを割り出さなければなりません。
注)段繰率や原紙の(g/㎡)重さはメーカーによって違います。
■例えばEフルートの段繰率が1.3の場合
中芯の重さ=120×1.3=156g/㎡
●片面ダンボールの総量=中芯156g+ライナ160g=316g/㎡
コートボール310g/㎡ < ダンボール総量316g/㎡ ➡ 6g重いので
答えはダンボールマークとなります。
番外編クイズ
- 中芯またはライナ原紙だけでできた、1枚ものの緩衝材は何マークですか?
-
答えは:紙マーク
答えは紙マークです。なぜなら、1枚の紙でできている緩衝材はダンボール原紙を使用していても、肝心のダンボールになっていないからです。
問題2)
Gフルート片段シートにコートボール310g/㎡を合紙した箱は紙マーク?
それとも、ダンボールマークですか?
答えは:紙マーク
解 説
解 答
●片面ダンボールの総量は中芯144g+ライナ160g=304g/㎡となります。
コートボール310g/㎡ > ダンボール総量304g/㎡ ➡ 6g軽いので
答えは紙マークとなります。
リサイクルマークが付けられないダンボール
見た目はダンボールでも、リサイクルマークが付けらせない場合があります。
●ワックス加工ダンボール
●アルミ箔ラミネートのダンボール
●プラスチック製の緩衝材や布などを貼り合わせたダンボール
●魚や洗剤などの匂いがついたダンボール
●油や食品で汚れがついたダンボール
ダンボールの原材料として再利用できる状態であることが必須です。そのため、原料として利用困難な素材が使用されているダンボールはリサイクルに出せず、リサイクルマークも表示できません。
無地のダンボールは表示を省略することができます。
■無地の段ボールとは、その製造段階で印刷が可能な工程を経ないものである。
■単一色による全面印刷(色ベタ無地の印刷)や色ライナを使用して印刷工程を経ないダンボールはリサイクルマークは省略できます。
無地・無地カラーダンボール
賞味期限を印字または印字シール
スタンプは印刷とみなされる
ダンボールマークの表示について
まとめ
●紙の場合は、対象物には必ず「紙マーク」の印刷が義務化されている。
●「ダンボールマーク」は事業者による自主的表示が推奨されていて、
表示に義務化はなく、任意で決めることができる。
●ダンボール原紙を使用しても見た目がダンボールでないものは
「紙マーク」をつける必要がある。
●片面ダンボールに紙器用板紙を合紙した場合は、ダンボール素材と紙器用板紙と比べ、重い方の材質マークを表示する。
紙器用板紙が重い場合は「紙マーク」を。
ダンボールのほうが重い場合は「ダンボールマーク」を表示する。
●材質や仕様によっては、同じ厚さのダンボールでも、ダンボールマークを表示できない場合がある。
正しくリサイクルマークを表記するためには、加工するメーカーに確認することをおすすめします。ライナの材質を変えただけで、紙とダンボールの重さの関係が逆転する場合もあるかもしれません。中芯の段繰率もダンボール貼合するメーカーや機械によっても様々です。メーカーによってダンボール原紙と紙の扱いも違うのではないか?とも思います。
そして、今回の記事を書くにあたって「ダンボールとは何か?」を調べていくうちに思ったのは、外装ダンボールを中心に見たダンボールの概念と美粧ダンボールメーカーから見たダンボールの概念とは多少違うのではないか?思うところがあったりしました。
また、せっかくリサイクルマークがついていても、ダンボールに伝票やテープが残っているとリサイクルできないので、ダンボールについている不要なものを全て取り除いてからリサイクルに出すように心がけましょう。