箱のかたち❶– 基礎知識 –

目次

基礎知識

箱のかたち[その❶]

美粧ダンボールメーカーが主に取り扱っている、一般的な箱の形状から基本形状の14種をご紹介します。

ひと口に箱といっても使う目的や用途によって、さまざまな「箱のかたち」があります。
このページではパッケージ制作会社やダンボール紙器製造業で取り扱っている基本形状の箱と、やや特殊な形状ですが、通販箱としてEC/D2C向けにあると非常に便利な箱の形状を紹介します。
また、紙器には「貼箱」や「紙管」と言った完成品の状態で納品されるものもありますが、ここでは組箱(くみばこ)や貼り加工のある(簡単に箱ができるように補助的役割を持った)箱の形状を中心に集めてみました。パッケージ制作に興味のある方や未経験の方にも活用していただけたら幸いです。

※メーカーにより取り扱う箱の種類は異なりますので、お問い合わせください。
※展開図に記載の長さ(L)、巾(W)、高さ(H)=深さ(D)は箱やフタの向き、位置が変わることにより、呼称が変わります。取り扱う会社により多少違う場合もあります。イラストは高さ(H)で表記しています。

箱のかたち❶

A式箱
サック箱
B式底ワンタッチ箱
B式アメリカンロック箱
N式箱
脇差箱
スリーブ箱
C式箱
C式額付き箱
ピロー箱
タトウ式
トレー型
ボックストレー型
4隅貼り
キャリー箱

箱のかたち❷

ポストイン
ポストインテーパー
ポストインジッパー
おしゃれな通販箱
便利な通販箱

※形状イラストまたは左の目次をクリックすると読みたい箱の説明部分へ移動します。

A式(みかん)箱

A式箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

A式箱写真

A式箱は引っ越しや製品の運搬などに一般的に多く使われているタイプの箱の形状です。みかん箱と呼ばれることもあります。ダンボール箱というと、この箱が一番思い浮かぶのではないでしょうか? 製造工程で、材料の無駄がなく製造コストを低く抑えることが可能です。A式箱は梱包の際に底面と天面のフラップを曲げて、外フラップを突合せてテープなどで封緘します。フタはA式のまま、底面をワンタッチにすると組み立て作業の時間とコストを削減できます。

B式(キャラメル・サック)箱

キャラメル箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

※通常段目は貼りずれを少なくするためです。どちらも可能です。

キャラメル箱写真

B式とはフタや底面が差込み式になっている箱を総称して呼びます。キャラメル箱とは、その名の通り、キャラメルを入れる箱に使われていたことに由来し、その形状を『キャラメル箱』と呼ぶようになりました。このキャラメル箱は『サック箱』とも呼ばれ、両方向のフタが同じ面についているものを『正サック』と呼び、フタの付いている面が異なるものを『逆サック』と呼びます。(上部左側の展開図は『正サック』です。)
B式箱は紙器の中で最も一般的なタイプで大量生産に適した低コストな紙箱です。納品時はサイドののりしろ部分が接着され、折り畳んであるのでかさばらず、在庫管理のしやすいのも特徴です。長年親しまれている定番の箱です。内容物は軽いものが適しています。

B式底ワンタッチ箱

ワンタッチ箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

底ワンタッチ箱写真

B式底ワンタッチ箱は天面のフタは差し込み式で、折りたたまれている箱を開けると自動的に底が出来上がるように、あらかじめ底部分の2箇所をのりで貼っています。「ワンタッチ」でスピーディに組み立てられ、アメリカンロックよりも底面が丈夫です。底を貼るためコストは掛かりますが、作業効率が良いので出荷数量が多い製品の箱にオススメです。梱包作業の時間を削減できるのが一番のメリットです。納品時、底が貼られている状態で折りたたまれているのでA式箱に比べると少し厚みが生じます。

B式底組(アメリカンロック)箱

アメリカンロック箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

底アメリカンロック箱写真

天面のフタはB式で、底が組立式になっています。簡単に組立てられる形状で、のり付けはA式箱(みかん箱)と同じサイドに1箇所あります。底ワンタッチ式よりも貼りの工程が少ない分、低コストで製作でき、A式箱のように底面のテープ止めが要らなく、梱包の手間を省き作業時間を短縮できます。ワンタッチ箱のように底部を貼っていないため、あまり重量のある内容物には向いていません。箱に底パットを併用することにより強度が増します。天面のフタを開け閉めする構造なのでギフト用の化粧箱にも十分対応できます。2番目のキャラメル箱の写真のように縦長にも対応できます。

N式箱

N式箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

N式箱写真

N式箱とはフタと身箱が一体化したワンピースタイプの箱です。のり付けがないのでコストも抑えられ見映えもよい箱です。比較的組み立ても簡単なところも人気のある箱の理由です。
写真のN式箱は、箱の形状を安定させるために左右の側面同士を背面の内側で腕組みのように連結する箇所があるタイプです。それにより、形状の安定とともにフタを開けたまま自立できるので製品のセット梱包が非常にラクになります。
また、腕組みタイプのN式箱は高さ(深さ)が低い箱にも対応できるため、ギフト向けの箱から配送箱まで幅広い用途で使用できるところがメリットです。デメリットは高さ(深さ)を多く必要とする内容物には構造的にあまり向いていません。フタの形状をB式箱のような差し込み式にする以外にもロック式の差し込みにしたり、身箱に額縁を付けて高級感を出したり、いろいろな応用も利く便利な箱です。
この箱を腕組みではなく、シェイクハンド型と呼ぶところもあるそうです。
一枚の紙から組み立てができます。(組箱=自分で組み立てる箱)

N式箱(脇差)

脇差箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

N式箱脇差タイプ

N式箱(腕組みタイプ)と同様、フタと身箱が一体化したワンピースの箱です。フタの差し込みを両サイドの側面に差し込んで閉めるのがN式箱(脇差し)です。
フタを閉じた外見はシンプルな見た目で、高級感のある箱に仕上がります。またフタの両サイドのフラップを身箱内側に差し込むタイプのものはフタの沈み込みが少なく強度も優れています。フタがしっかりと閉まるため密閉性にも優れた形状です。対象となる内容物は幅広く、ギフトやアパレル商品、ビン製品などの詰め合わせセットの化粧箱などにも重宝します。材質はフタフラップを額縁付の側面に差し込んでロックするため、通常厚みがあるダンボールを使用します。仕切りやパットなどを併用すると見た目にも機能的にも優れた箱になります。

スリーブ

スリーブ箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

スリーブ箱写真

スリーブとは「袖」の意味。衣服の袖のように両端が開いた筒状になっていて、身箱に被せてスライド式に中身を取り出すパッケージのことです。
中箱を引き出す動作が開ける楽しみを演出する目的にもなり、見た目もすっきりとした上品な印象を与えます。通常、C式身箱との併用となります。今では見かけなくなったマッチ箱の作りと同じなので身箱とあわせて「マッチ箱」タイプという場合もあります。他には、ギミックのある身箱と組み合わせたり、商品に直接被せたりアイデア次第で美しく楽しいパッケージができそうです。構造も簡単なので、材質や印刷・加工も幅広い表現から選べるところもメリットではないでしょうか…。
スリーブと身箱、缶ケースなどに直接被せる場合の嵌合性を出すのは意外と難しいので、サンプルでしっかりとチェックしたほうがよいでしょう。

C式箱(かぶせ式)・額縁なし

C式箱展開図

※写真の材質はコートボール310gです。

C式箱写真

フタと身箱という2つのトレー状のものにわかれていて、お互いをかぶせあわせて箱にするタイプのものをC式箱(かぶせ箱)といいます。お弁当の箱にも似ていることから「お弁当箱タイプ」ともいいます。高級感のあるギフト箱・化粧箱に多く使われる箱です。この額縁がないタイプのものはフタと身箱で使用することもありますが、額縁付のC式の箱を身箱にして、額縁のないタイプをフタにする場合の組み合わせもよく使用されます。 組箱タイプと貼りのあるタイプの2種類があり、組箱タイプは折り返しが多いため組み立てるには馴れが必要となります。貼り工賃のコストは掛かりますが、のり付けを設けることにより、早く箱に組めるように改良することも可能です。

C式箱(かぶせ式)・額縁あり

C式箱額あり展開図

※写真の材質はEフルートです。

C式額付き箱写真

額縁のあるC式箱です。主にギフト箱やお菓子のアソート箱の身箱として使われることが多いタイプです。その際は内容物にあわせた仕切りと組み合わせて使用します。こちらも組み立てるタイプと貼り加工があるタイプの2タイプあります。組み立ては額縁なしのC式箱に比べてさらに難易度は高くなり、組み立て時間も掛かります。重厚感があるパッケージにするため、フタにも額縁付のC式を使用する場合もあります。貼り加工賃は掛かりますが、組み立て時間を圧倒的に少なくするため考案されたのに「Ecopa」という箱があります。▶Ecopaのページはこちら
側面4面とも内側に折り返すタイプのC式箱はダブルウォールタイプ(2枚の壁)ともいいます。

ピロー

ピローケース展開図

※写真の材質はコートボール310gです。

ピローケース

形が枕(ピロー)の形に似ていることからこの名前で呼ばれています。使用する紙はコートボールやカード紙など薄めの板紙を使用した方がピロー型にしやすいので、材質にダンボールを選ぶときはGフルート(約0.9mm)か、Gフルートの片面ダンボールを使用すると味のあるパッケージになります。リボンやシール、メッセージカードと組み合わせてみたり、部分的に中身が見えるように窓穴を開けたりするとより一層楽しいパッケージに仕上げることができるでしょう…。小物類のプレゼントギフトやラッピングにも、お菓子などのパッケージにもオススメです。

ヤッコ型(タトウ)

ヤッコ型展開図

※写真の材質はEフルートです。

ヤッコ型箱写真

展開図が折り紙の「やっこ」の形に似ている形状でタトウとも言います。風呂敷のように四方から包み込むように梱包するタイプの形状でコスト的には最もコストパフォーマンスの優れた形状でもあります。パネル、書籍やカタログ、DVDやCDなど比較的高さ(深さ)が低い薄ものを梱包するのに便利です。タトウとは畳紙(たとうし)が由来だと言われています。それは昔から大事な額縁や図面、道具や着物などを包む紙などのこと。タトウを漢字で表記する場合、やはり畳紙が語源のご祝儀袋などの折り方「多当折り(たとうおり)」から多当と表記するところもあります。カタログなどを挟みこむポケットフォルダーなどもタトウと言いますが、こちらは畳紙が語源のようです。

トレー(テーパートレー)

紙トレー展開図

※写真の材質はGフルートです。

紙トレー写真

四隅をのり付けして仕上げるテーパートレーはスーパーマーケットのフルーツや惣菜売り場など、宅配サービス・テイクアウト用の紙製の食品容器としてよく見かけます。
プラスチック製の容器の代替品として、環境に優しいエコなアイテムとして大注目されています。四隅ののり付けフラップは内側に貼るタイプと外側に貼るタイプの2種類あります。
組み立てる必要がないので作業効率もよい製品です。特殊なものとして四隅の貼りの構造を変えることにより液漏れ対策に対応したウォータータイトのトレーにもなります。

ボックストレー(フタ付きテーパートレー)

ボックストレー展開図

※写真の材質はGフルートです。

ボックストレー写真

テーパートレーにフタが付いたのがボックストレー。テイクアウト容器などに重宝します。マイクロフルートを使用することで温冷、保温性がある紙容器となります。特殊な加工を施すことで撥水性や抗菌性もプラスすることが可能です。ただし、あまり大きなサイズの加工はできませんのでサイズに関してはお問い合わせください。

四隅貼り(4コーナー貼り)

4コーナー貼り展開図

※写真の材質はEフルートです。

4コーナー箱写真

四隅貼り(四隅をのり付けしたタイプ)の箱です。折り畳んだ箱を起こすだけで組み上がる構造で、作業効率が高い製品です。加工は折りたたみながら貼付けるので、貼った後の状態は平らに折りたたまれた状態で納品されるので置き場所も省スペース。お菓子箱や、お弁当箱、お歳暮やお中元などの製品に多く使われている箱です。量産するタイプの商品パッケージに向いています。内折りと外折り、内外折りなどがありますが、詳しくは問い合わせで確認してください。

キャリー型

キャリー箱展開図

※写真の材質はEフルートです。

キャリー箱写真

箱の上部に手提げが付いた持ち運び(キャリー)に便利な箱です。ショートケーキなどを買うと入れてくれる、ケーキ屋さんの箱として見たことがあるかもしれません。洋菓子やクッキー、ご当地のお土産のパッケージなどに重宝する形状です。材質は白色板紙や薄めのダンボール(Gフルート・Eフルート)が多く使用されています。お酒やドリンクなど内容物が重い場合はダンボールを使用します。底面はワンタッチ底、アメリカンロック、平面の構造のものもあります。

箱のかたち❷へ

通販箱、EC/D2C向けに応用した便利な箱のご紹介です。

目次