箱のかたち[その❷]
一般的な箱の形状を通販箱としてEC/D2C向けに応用した、あると便利な箱の形状をご紹介します。
※メーカーにより取り扱う箱の種類は異なりますので、お問い合わせください。
※展開図に記載の長さ(L)、巾(W)、高さ(H)=深さ(D)は箱やフタの向き、位置が変わることにより、呼称が変わります。取り扱う会社により多少違う場合もあります。イラストは高さ(H)で表記しています。
箱のかたち❶
上のイラストはクリックすると、箱のかたち❶へ移動します。
箱のかたち❷
このページで紹介する箱たちです。クリックすると説明部に移動します。
ヤッコ型(タトウ)
メール便箱・ポストインケース※写真の材質はGフルートです。
低コスト 再配達削減
ポストインケースはヤッコ型が圧倒的に人気です。メリットしては箱のコストが安い。組み立て梱包が簡単。箱にする前は薄いシート状で保管できるので保管スペースも削減でき、配送料も全国一律で送料コストも削減。対応可能なポストであれば再配達がなくなるなど、メリットはたくさんあります。梱包テープ不要のポストインケースをオリジナルで作成すれば、さらに梱包資材や時間の無駄などの削減にも一役買います。また、ヤッコ型の材質はダンボールが通常です。
ボックストレー
ポストインケースに応用※写真の材質はGフルートです。
梱包作業効率化 再配達削減
ボックストレーを通販箱用に応用した、ポストインケースの例。メリットは箱を組み立てずに、そのまま商品をセットしてフタを閉じるだけで梱包できるところです。フタを開けた状態で箱をを並べて置けるので個数が多い流れ作業も容易になります。組み立て時間の削減や組み立て要員を減らし、別のラインの補強などを考えている場合は期待が持てる箱のひとつとなるのではないでしょうか?
ボックストレーの形状を応用した通販箱は、一般のネットショップなどでは、なかなか入手できない形状の箱ですので、必要とする個数が多い場合やテープレスのフタを必要としている場合など、その多くはボックストレーが製造可能な会社に依頼することになります。そのためにはダンボール素材製造・形状加工など一貫して任せられる会社を探す必要があります。主にボックストレーのポストインケースにはマイクロフルート(Gフルート/厚さ約0.9mm)を使用します。
四隅貼り型(4コーナー貼り)
メール便箱に対応※写真の材質はGフルートです。
梱包作業効率化 省スペース
再配達削減 片付け便利な箱
四隅貼り型(4コーナー貼り)の箱を応用してメール便箱に応用したのが写真の箱です。一見するとボックストレーを応用したポストインケースの箱に似ています。トレータイプの箱は完成品ですので縦にスタッキング(重ねた)した状態で保管する必要があります。それに対して四隅貼り型の箱はコンパクトに折り畳まれているので所定の保管棚や作業台そばに必要な分だけ収納する事が可能です。箱も簡単に起こせるので組み立てのストレスはありません。テーパータイプと同様に開口部を開いたまま詰め込み作業ができるので梱包作業がスムーズです。コンシューマー向けにオリジナルのメール便箱を販売する場合などは小売店にとってもコンパクトに陳列しやすい箱でもあります。折り畳む構造上、側面に斜めの折れ線が入ってしまいますが、高さ(深さ)をあまり多く取らなければ、思ったより折れ線は目立ちません。
50・60・80と配送サイズ別に高さを変えて配送箱に応用してみても便利な箱です。使用後も解体することなく簡単に折り畳んで元に戻せるので、それはコンシューマー(消費者)にも便利で嵩張らずにリサイクルしやすい箱なのではないでしょうか?
N式箱
メッセージBOX通販箱60サイズ折り畳んだ状態はこんなにコンパクトに。
※写真の材質はEフルートです。
フタの裏面にもメッセージやグラフィックを表現可能。
省スペース 片付け便利な箱 美粧性
フタの裏側にもメッセージやデザイン施せる、他の形状にはない、顧客にインパクトを与える箱です。メッセージ部分はフタの裏側にフラップを回し込んで糊付けをしているため、フタ天面のソリや凹みにも強い構造となっています。表裏印刷はコストが嵩張りますがこの箱なら片面印刷で済みます。また、身箱側の四隅の連結辺を貼ることにより、箱の組み立てに慣れていない人にも直感的に箱に仕上げることができます。折り畳んだ状態もコンパクトなので四隅貼り(4コーナー)箱と同様に省スペース保管に役立ち、コンシューマーにとっても片付けが簡単でリサイクルしやすい箱です。四隅貼り箱には構造上側面に折線がありますが、この箱にはありません。その分、見た目もギフト用化粧箱に近い美粧性の高い配送箱が作製可能です。競合他者と差をつける箱、消費者想いの箱になる構造です。貼り加工が多い分、箱のコストは上がりますが、顧客へのアピール度は、送るためだけの低コストの配送箱よりブランディング効果は高く印象づけられるのではないでしょうか?
底ワンタッチ箱
底パット付き底ワンタッチ箱60サイズ印刷面積が広い。ワンタッチ底の弱点を解消した箱。
※写真の材質はEフルートです。
梱包作業効率化 底パット付き
片付け便利な箱 美粧性 省スペース
A式・B式底ワンタッチ箱の「ワンタッチでスピーディ」「底面が底抜けしづらく強度もある」という利点をさらに使い勝手の良い箱の構造にしたのが、この箱です。A式・B式底ワンタッチ箱は多く流通している箱の形状の一つですが、あまり高さ(深さ)の低いサイズの箱には向きません。なぜなら、貼り加工の工程で高い技術が必要になることと、箱にしたあと底面が凸凹と平滑性がなく、入れる中身がシャツのような軽く柔軟性があるものだと場合によっては底面外側(下側)からの圧力に対して内側に入り込んだりしてしまいます。ある程度重量があるものを入れることによって、箱内側に入り込む底面の力を重力で押さえつけることにより、この箱は安定します。また、見栄えも底が平な箱に比べて悪いことから、底面強度をさらに上げる、平滑性を出す、底を隠して見栄えを良くする等の理由で底パットを別パーツとして底ワンタッチ箱にセットする場合があります。これらのワンタッチ底の弱点を解消しつつ、高さの低い50・60サイズの通販箱に対応したのがこの「底パット付き底ワンタッチ箱」です。内フラップが大きいので箱の内側にデザインやメッセージ、広告などを入れられ、印刷面積が広いのもメリットです。上から中身を入れられるのでセット梱包のしやすさもトレータイプの通販箱、四隅貼り型の通販箱同様、見過ごせない点です。
比較的重さのある小物や小型家電、異物混入を極力避けたい医療部品などにもオススメの形状です。
まとめ
ヤッコ型ポストインケースはネコポス、ゆうパケットを代表とする通販箱として梱包資材を販売するECサイトで、個人向け・フリマアプリ用向けにはコンビニや100円ショップなどでも数多く流通しています。ただし、梱包作業の効率化や競合他者との差別化(見栄えやブランディング、ユーザビリティ目線の構造設計など)に対応・カスタマイズされた箱を入手するにはオリジナル作製をする他にありません。そのためには、材質の豊富さや加工できる構造の多さと技術力を持ったパートナー企業を知り(そばにそのような企業があるのか、ないのか?)自ら探し直接、製造することもEC/D2C企業にとって必要になるのではないかと思います。「削るべきところは削り、出すところは出す。」というメリハリのきいた戦略はブランディングやユーザビリティで他社に勝つ秘訣かもしれません。
今までも人気のあるポストインケースは引き続き、2024年問題の人手不足による再配達削減対応のため、多く流通すること思います。また、新しいマンションなどの集合ポストもメール便対応や宅配BOXを完備しているところが増え、その他の受け取り場所の多様化もあり、小型・中型の配送箱の需要は注目するところです。
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基本形状の箱の中から15点を解説しています。